地元のケーブルテレビを見ていたら、昨日の成人式の模様を放映していた。
きゅりあんという大ホールで行われた成人式は俺らのときほど賑わっていないようだった。
品川区の役所の偉い人が壇上に上がり祝辞をたれている。
「前へ、前へ。怖れずに前進してください」
「君たちには希望があります。無限の可能性を秘めています」
『近年、ニートや引きこもりが多いから君達はならないでね』に聞こえるな。
お前らはそんなことを言いにわざわざ成人式場にかけつけたのか?
違うだろ。
成人式は成人したことを祝うのであって、もっと言えばここまで育ててくれた親御さん達に感謝する日なんだぞ。
成人した人たちは何も偉くはない。それを褒めたって何にもならねぇ。
彼らは何もしなくたって二十年すれば二十歳になるんだよ。
大変なのは彼らを育ててきた親御さん達だ。
そんな彼らにかける言葉が「ニートになるな」「頑張って下さい」だと?
俺だったらこう言うね。
「今朝、お父さんやお母さん、あなた方を育ててくれた人たちにありがとうの言葉を言いましたか? 言ってない人は、帰ったらぜひ言ってあげてください。 それが成人になると言う事です」
どうしてそういう発想を持たないのか不思議でしょうがなかったが、
成人式の模様を見ているとその背景にあるものがうっすら見えてきた。
成人式の内容を企画するのは、どうやら今年成人を迎える有志の人たちらしいな。
若者が自ら駆って企画を立てる。自分達の力で成人式を行う。
そりゃ聞こえは素敵だな。
だがな、勘違いするんじゃない。君達はちっとも偉くないんだぞ。
くり返すが、偉いのは育ててくれた親御さんだからな。
「競馬ができるうになりました」
「酒が飲めるぞー」
ガキがインタビューに応えていたが、反吐が出る。
君達が大人の仲間入りだなんて笑わせるなw
そんなことをさせるために君達にご飯を食べさせてきたわけじゃないだろ。
必至でここまで育ててくれた親御さんに感謝しなさい。
それから立派な成人になりなさい。